働き方改革の意味



永守さんの眉間にしわ 働き方改革との格闘

永守さんと言えば、年に364日働くモーレツビジネスマンの典型。日本電産もハードワークで知られる企業です。その人が、働き方改革を標榜する。その意味とはなにか? そこには日本企業が直面する大きなカベが存在します。

高度成長期は欧米へのキャッチアップが目標でした。品質もさることながら、何よりアウトプットの量で世界に勝ったのが日本でした。その方程式が崩れてしまったいま、私たちは何で勝てばいいのか、道を見失ってしまっています。国内で勝ち続けていた日本電産も、世界に出て初めて自分たちの勝ち方が通用しないことを悟ったのでしょうね。そこで永守さんが摸索している突破口が、効率化だったのです。ムダな会議を無くし、管理職にマネージメント能力をつけさせ、生産性を上げる。ただ残業禁止を謳うだけでは利益が減るだけですから、企業としての効率アップが絶対に必要です。しかし、それで本当に世界で勝てる企業が作れるのでしょうか?

私は、効率アップだけではトップには立てないと思っています。日本は偉大な二番手ランナーだったのですが、いざ先頭に立った時、追うべき目標をなくしてうろたえているのが現状なのだと思います。今の日本に必要なのは、オリジナリティを生み出すこと、ブルーオーシャンを見つけること。それには結局イノベーション力が不可欠なのです。人真似ではない本当に付加価値の高い事業を自らの手で創り出せない限り、本物の高収益企業は実現できないと思います。

その意味では働き方改革はあくまで通過点なのだと思います。本当に日本企業に求められているのは、異能のタレントを許容する多様性の獲得なんじゃないでしょうか。横並びを強要する同調圧力なんかにかまけず、他人と違うことを評価する風土を作る。これは日本には高いハードルですね。教育システムを抜本的に作り替える必要があるのかも知れません。

日本の働き方改革はまだ端緒についたばかりですが、これから個性的な企業が活躍することが増えていくでしょう。個人的にはZOZOTOWNとDMMが気になる存在です。私も負けずにとんがったサービスをお届けしたいですね。出すぎた杭は打たれないのですから。