仕事納め

世間的には少し早いかも知れませんが、本日で弊社は仕事納めです。私が秋口に復帰して四カ月ですが、色々なことが変わりだしていると思います。振り返ってみると以前の私はまともに仕事をしていなかったと思います。手の掛かる面倒なタスクを先送りにして積み上げ、長期的なビジョンを構築していませんでした。今は日々やるべき事を真剣に考えタスクを確実に処理しています。全く仕事の進み方が違うのをスタッフも実感しているのではないでしょうか。



おちゃのこネットでは社内の仕組みを整備して合理的な運営を心がけ、開発の優先順位とスケジュールを見直して成果に繋がりやすい戦術を構築しています。まだ勝てる戦略を見出すところまでは到達していませんが、今のリソースでできる最大限の施策を実施しています。



コンタクトでは新規プロジェクトの準備を進めています。「CARZY」の立ち上げが着々と進んでいます。おちゃのこネットではレガシーに引きずられて素早い動きが取りにくい面がありますので、全く新規のプロジェクトを立ち上げる事で速やかに成果に繋げたいと思っています。クルマの領域にITサービスを持ち込むことでイノベーションを起こしたいと考えています。コレクタブルカーという限られたマーケットではありますが、世界に通用するグローバルサービスを作りたいのです。それはスタッフにもいい経験ですし、成功させて神戸にポジティブな影響を与えたいと思っています。



家業の農業も経営を引き継ぎ、これからの次代に合った新しい農業、楽しい農業を摸索したいと思っています。ポテンシャルの大きな市場であることは間違いありません。



ITとクルマと農業。少々手を拡げすぎかも知れませんが、可能な限り高みを目指したいと思っています。それが私の人生への誠実な向き合い方だと信じているからです。沢山の方に支えられていることを実感した今、皆さまにお返しがしたい。いい仕事こそがその最高の手段。来年以降にどうぞご期待下さい。皆さま、よいお年を!

老害

下記は少し前にFacebookに投稿したものです。
私は常に新しいものを評価するようにしています。単純に新しいものが好きということもありますが、自分が毎年歳を重ねるにつれ、老害と言われる年代に差し掛かりつつある自覚があるからでもあります。誰しもがいつの間にか自分の体験の枠から出ることを避け、価値観が固定化されていきます。それは致し方ないことではあるのですが、周囲の環境、時代背景は必ず変化します。進取の気性を失った時、人も会社も老いるのだと思います。私は常に瑞々しさを失わない活力に満ちた会社であり続けたいと思うのです。



新しいモノやサービスは使ってみる、提案に耳を傾ける、人の話はまず聞いてみる。そういうことを大事にしていきたい。それが誕生日を迎えるにあたっての抱負です。来週、51歳になります。目標の期限まで、あと19年。
若い社会人やスタッフ、思春期の息子とぶつかる度に、これがジェネレーションギャップというやつかも知れないなと感じます。怖くなります。自分が忌み嫌っていた頭の固い老害に自分が陥っているのかと思うと、自分の判断に自信が持てなくなります。だからこそ、人の話に耳を傾ける姿勢は絶対になくしてはならないと自分に言い聞かせています。



しかし、ものごとは誰かが責任を取らねばなりません。多数決で会社を運営していくことは出来ないと思っています。どんなに大きな組織でも、最後は個人が主体的に判断して決断する。それが当然だと思います。私に出来るのは、可能な限り衆知を集めて最善の決定を下すこと。それしかありません。本当に自信が持てなくなった時が、引退の時です。
"Here lies one who knew how to get around him men who were cleverer than himself."(Andrew Carnegie)

SEOについて

最近はSEO(サーチエンジン最適化)という用語自体が死語という話も有りますが、続けて耳にする機会がありましたので一言。勿論おちゃのこネットという沢山の方にお使い頂くプラットフォームをご提供する立場として"正しい"技術を採用し続けることは必要です。随時行われるGoogleのアルゴリズム変更に対応して、求められる仕様にブラッシュアップし続けることは大変ではありますが、大事な事でもあります。我々がその努力を求めれるのは当然です。



しかし、ユーザーさんはどうなのか。ときおり、過度にSEOを気になさるお客さまがいらっしゃいます。こちらでSEOについてお書きしたのはもう10年以上も前の事ですが、今でも概ね考えは変わっていません。タイトル、キーワード、ディスクリプション、程度の設定は必要ですが、あとは普通に”良いコンテンツ”を作ることに専念頂ければそれでいいと思います。”良いコンテンツ”を正しく評価するのが検索エンジンの目的なのですから、最初からそこをゴールにしていれば細かいアルゴリズムの変更に右往左往する必要はないはずですから。実際に最近おちゃのこネットの売上上位のお店を回っていて、皆さま「おちゃのこネットに特にSEOの弱さを感じたことはない」と仰って下さいました。そこは自信を持っていいのだと感じました。



そもそも、厄介なコンピューターの知識や設定は専門業者に任せて、自分達はやるべき本業に専念する。それがASP(クラウドサービス)を使う理由です。ショップオーナーさまにはご自身の商売そのものにだけ向き合って頂きたい、我々は裏方として面倒な作業を極力サポートする。そういう良い関係でありたいと思っています。「商売人さんの気持ちが分かるシステム屋」、というのを強みにしていきたいですね。

技術と営業のバランス

マイクロソフトは上場時の目論見書も神がかっていた!?(前編)



このメルマガ有料(無料コンテンツもあり)なんですが、面白いので購読しています。このマイクロソフト上場時の分析も興味深いものがあります。感心したのはマイクロソフトという会社が営業努力で大きくなった会社であることです。
それはR&Dと比較して営業マーケティングの費用が約3倍も大きいという点です。マイクロソフトはオペレーティングシステムという非常にハイテクな製品を作っている会社にもかかわらず、製品開発にかけるお金の3倍ものコストを営業マーケティングに費やしているというのが上場時点での実態です。当時はまだインターネットも普及していなかったので、WordやExcelといったアプリケーションを販売する場合には家電量販店などの小売に頼るしかありませんでした。また上で述べたようにOSをOEM販売するにあたっては当然パソコンメーカーへのマーケティングフィーなどが発生している可能性が十分考えられます。このようにマイクロソフトは当時から相当な技術の会社であるだけではなく、営業マーケティングに長けていた、あるいは営業マーケティングの重要性を十分理解し実践していた会社だと言えるのではないでしょうか。
なるほどな、と。なんとなくマイクロソフトは技術志向の会社でMS-DOS/Windows/MS-Officeなどの製品が優れていたから大きくなったというイメージがありますが、開発費用の3倍も営業マーケティングにかけているというのは驚きました。と同時に、なるほどここが足りないからウチは成長しないんだなという反省にもなりました。良いモノを作っていれば売れる、という考えがまだあるんですよね。でも頑張って作った製品が知られなければ売れることはない。IT企業が調達した資金をTVCMに投入するのはこういう理由があるから。遅ればせながらですが、ちゃんとマーケティングにお金を投入しようと思いました。



今、Wantedlyで新規の求人案件を出そうと思って原稿を書いているんですが、まだ正式にリリースしていない下書きの段階でがんがんメールが送られてきて、ついには電話が掛かってきました。鬱陶しいんですが、やるな、とも感じました。こういうベタな努力が必要なんですね。ITってスマートな世界に見えますが、成果を出している会社はどこも泥臭いことをしています。楽天のことも馬鹿にしてたけどやっぱり彼らの営業努力は凄い。素直に勉強させて頂いて、会社を再び成長軌道に乗せたいと考えています。

シェアリングでパイは大きくなる?

なぜシェアリングエコノミーは経済を拡大するのか



購入方法のバリエーションが増えれば必ずパイが拡大するのが経済の基本
と言われれば、私も渡辺さんと同様にえっと思います。カーシェアリングが普及すれば自家用車を買わなくなるから自動車メーカーの売上は減るよね、トータルで社会全体のクルマ保有台数は減ってエコだよね、というのが常識だと思います。それが全体のパイが増えることになると言われると直感的に納得出来ないのは当然だと思います。しかしこのエントリーで千賀さんが述べていることはとても自然で、私も「そうか、パイが大きくなるということは充分あるな」と思えました。



今まで家族四人が荷物を積むことを考えるからミニバンを買っていた家庭が、普段使いはカーシェアリングで済ませて、自分が保有するクルマは趣味のスポーツカーにする、ということが充分起こり得ると思うのです。実際はミニバンを一人で運転することが圧倒的に多いわけですから、使い方の一番ヘビーデューディなシーンを想定してクルマを買っている購買行動が変化する可能性は高いです。千賀さんが
これまで所有以外に手がなかった洋服市場にレンタルが本格的に広がればその市場は広がるだろう。例えば、私が常に「変な服」を借り続けるように、これまでの大量生産時代とは違う価格帯・デザイン性の、ごくニッチなものが流通するようになるはず。これまでの大量生産型のファッションがなくなるとは思わないが、今まで食べていけなかったような限られた市場しかなかったデザイナーがもっとデザインを仕事にすることができるようになるのではなかろうか。
と書かれている通りのことが実現するのではないでしょうか。



今までカーシェアリングやホームシェアリングなどの共有経済は全体のパイを小さくしてしまうという心配をしていましたが、その未来が案外明るいものになるなら歓迎です。エコではないかもしれませんが、私は技術進歩主義者なので。この話はまた。

大企業の倒し方

ヤフー川邊氏があえて教える「大企業の倒し方」 ベンチャー企業が取るべき3つの戦略を説く



要約すると下記の三点がポイントになります。



1.リソースを局地戦に集中投下

2.情報を隠しながら成長せよ

3.尖った人材を集める



全てごもっとも。自分達が勝てるように領域を設定するのは戦略の基本です。実は一番重要で、かつ難しいのは三番目の尖った人材を集めることかも知れません。実績もお金もない初期のベンチャーは、結局のところ創業者の人間的な魅力で人を惹き付けるしか手段がないのです。だから実は初期の創業メンバーが大事になるのですね。



世界がフラット化している、というのもその通りで、以前はトヨタ・ホンダ・松下・SONYといった大企業に成長するのには数十年単位の時間が必要でしたが、今は数年で上場が可能になりました。小資本で短期間に成果が出るとてもチャンスに恵まれた時代に生きれて我々は幸せです。智恵とスピードで勝負。一丁、やってやりましょう!

United Hubs

United Hubs



このサイトはPeter Galkaev君が立ち上げようとしているサービスです。彼はロシア生まれでカナダ国籍を持つユダヤ人というバックグラウンド。もう日本で10年仕事をしています。コンセプトシートに記載があるのですがなかなか壮大なビジョンで、一言で言えば「この世の中から無駄をなくそう」という理念に基づいています。ここでいう”無駄”には色んな段階があり最終的には完全効率な社会を目指すのですが、最初のステップとしてはグループ作業の効率化から手を付けます。チャット・タスク・カレンダーといったビジネスコミュニケーションツールを提供することになります。これだけならよくあるサービスの一つにしかなりませんが、Peterが見ている将来像に可能性を感じ、このプラットフォームの上にサービスをアプリケーションとして構築するビジョンを描いていました。



しかし組織の運営形態の部分で大きな相違がありました。Peterは”協同組合”方式でいきたいと言い、私は通常の株式会社で充分と考えました。正直なところ彼が主張する協同組合という組織形態を評価しきれなかったところがあります。



モンドラゴン協同組合企業



上記が世界で最も成功している協同組合の事例だそうですが、寡聞にして知りませんでした。
権力は一人一票の原理に基づいている。
モンドラゴンでは、労働経営者 (en:worker-owner) すなわち経営に携わる仕事をする組合員と、それ以外の職場・出先や工場で労働し最低賃金を得る組合員との間(訳注: 一般的な企業におけるいわゆる労使間)で、賃金比率への同意がある。これらの比率の範囲は、3:1 から 9:1 までであり、協同組合によって違う。平均は、5:1 である。
Peterは「株式会社は古い」と言いましたが、賃金比率はともかく、一人一票とかの運営ポリシーが企業体運営に適しているとは私には思えなかったのです。ただ、何十年か後にはこの考え方が主流になっているのかもしれませんが。



United Hubsのスキームを採用するには至りませんでしたが、今回の経験は私に更なる大きなビジョンの抱き方という刺激を与えてくれました。仕事をするうえで自分達が目指すゴールを明確にイメージすることはとても大事だと思うのです。ビジョンは大きければ大きいほどいいと思います。勿論実現出来なければ絵に描いた餅ですが、それでも偉大なビジョンの下に素晴らしい人材が集まり、偉大なミッションが遂行されるのだと思います。それは歴史的にも明らかですよね。彼がどこまでやれるのか分かりませんが、蔭ながら応援したいと思っています。皆さんもどうぞ楽しみに見守ってやって下さい。



私は私で自分のビジョンを描き、実現に向けて本気で成果を出していきます。突破力が問われています。大事なのは結果ですね。

中国で電子決済が普及した理由

中国在住3年の雑感



最近中国での電子決済の普及が凄いとよく耳にします。私自身は数年前に上海に行ったことがあるだけで中国の近況について自分の目で見たわけではありませんからよく分かりません。それでもこのエントリーの内容には深く頷くところがあります。
「現金信奉してる日本人は未開人過ぎ」みたいな言説も多いが、中国で普及した理由は、まず何よりも店側の手数料がめちゃ低いからどの店でも使えるようになったこと。それに加えてalipayとwechatが1番ガチで戦争してる時に死ぬほど割引バラまいたてた。モバイルペイメント使うと10%引きとか普通だった。またalipayはアカウントにチャージしてる残高に対して銀行金利の数倍の金利を付けてたから、使わないけどとりあえずアカウント作ったっていう中高年も多かった。もちろんこんなのでペイするわけないのだが、アリババとテンセントが先行投資として根性入れて血流しまくって頑張ったからみんな使ってるだけ。日本だって普及期にここまで根性入れて金燃やしまくるプラットフォーマーがいたら普及すると思う。
確かに昔Yahoo!BBが駅前でモデムを配りまくったから日本は世界有数のブロードバンド大国になったわけで、結局のところ誰か特定の経営者の圧倒的な熱意が世の中にインパクトをもたらすということは多々あるのです。その意味では今の日本にそこまでの熱意が足りないだけなんじゃないかなと思いますね。



今の日本は不況だというコンセンサスに洗脳されて、競争が不足していると思います。ぬるま湯なんですよ。80〜90年代のあの世界を圧倒するジャパンパワーの時代を知る者としては、今の日本はあまりにぬるい。逆に言えば、アグレッシブな経営者にとっては成果を出しやすい環境とも言える。まだまだ国も個人も老け込むのは早い。ちゃんと勝負している人も沢山いますよ。



「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営者が語る
中国古代の呪術で「蠱毒」というものがあるそうだ。ヘビやムカデ、カエルなど毒を持つ動物を1つの壺に入れ、生き残ったものから最強の毒が得られるというものだ。深圳はいわば製造業の蠱毒を行うことでレベルアップしてきたのではないか。「日本よりも深圳のほうが生き延びやすい」「誰でも活躍できる街」などという、甘ったれた幻想は捨ててもらいたい。
我々はもう一度この中国の競争する姿勢に学ぶべきなのだと思います。羨む前に、勝負しましょうよ。(自戒を込めて)

喜怒哀楽

人間の感情の喜怒哀楽のうち、一番強い感情は怒りだと思います。怒りは上手くコントロール出来れば強いモチベーションをもたらしてくれるドライバーになるのですが、往々にしてトラブルの元となります。私自身、この怒りの感情に振り回されて随分周囲に迷惑を掛けてきました。なかなか厄介なこの怒りの感情をなんとかてなずけるための手助けになるかもしれないのがこの本です。



ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?



人の思考には二種類あり、システム1が直感的な反応、システム2が理性による論理的思考。人は往々にしてシステム1に支配されて、感情的に不合理な判断をしてしまう。確かにその通りで、目の前のできごとに感情的に”反射”してしまうから理性的に振る舞えずに失敗してしまうわけですね。感情の波に襲われたら、そこで一旦踏み止まってその感情を飲み込む。で、一拍おいて、自分の中の冷静な思考を引き出す。システム2の発動を促すわけです。この仕組みを理解出来ると、自分の感情の動きを俯瞰で見れるようになり、コントロールする余裕が生まれます。



と言いながら、まだまだ感情的になる場面は多々あるわけですが、少しでも理性的で温厚な対応ができるよう努力していきたいと思っています。懐の深さってそういうところから生まれるものなんじゃないかな。

再出発

こちらは四年ぶりの更新になります。詳細は控えさせて頂きますが、この間多くの皆さまにご迷惑とご心配をお掛けしましたこと深くお詫び申し上げます。



この四年、沢山の事を考えました。責任の取り方、償いの道、生きる意味、今後の身の振り方、人生の目的。そして、家族のこと、会社のこと、友人・知人のこと。持て余すほどの時間を前に、ひとつひとつに向き合い、自分なりに答えを出してきました。難しい問い掛けもあり自分で答えを出しかねるものも多かったのですが、それでも問題から逃げずに向き合おう、前に進もう、建設的な答えを出そう、そう考えて日々を送って参りました。見えていなかったものが段々見えて来たような気がしています。



どうしてこうなってしまったのか、私に足りなかったものは何なのか、随分考えました。結局のところ、”志が足りなかった”、ということではないのかなと考えています。目指すべき山を見失っていた、いえ、目指す山を設定していなかったことが自分の中途半端さを招き、謙虚さをなくし、道を誤った。全ての根本がそこに集約するような、そんな気がしています。



そして今、再出発にあたり、今後の目標設定をしました。「70歳の誕生日までに一兆円評価の企業をつくる」 数字の意味も簡単な目標でないことも重々承知です。それでも登る山の高さをイメージしビジョンを共有するために明確なターゲットを設定して、ゴールから逆算して組み立てることが大事だと考えました。それだけの大きなインパクトを周囲に与えたいのです。私に残された時間は多くはありませんから、背水の陣を敷いて有言実行で臨みます。



人が頑張るモチベーションって自分の損得勘定だけではたかが知れてると思います。周囲の人を幸せにする。家族、スタッフ、友人、お客さまを笑顔にする。そんな熱意が周りに伝わり、人々を巻き込んで大きなうねりを生み出していく。大きな仕事はそんな風にして形になっていくものなんじゃないでしょうか。



誠意は口先ではなく行動で示すもの。どうぞこれからの私の振る舞いをご覧頂きまして、叱咤激励頂ければ幸いです。